大分市の城跡公園の桜が同じ目線で楽しめる場所に「Life Gallery 花」さんはあります。
明るい日差しの入ってくるテラス席もあって、開放感に満ちたカフェです。
マクロビオティック・オーガニックカフェなので、吟味されたオーガニックの食材や自然食品、
天然酵母のパン、無農薬無化学肥料で作られたお野菜などが並びます。
予約をすればマクロビオ玄米プレートの食事も頂けます。
3年半前に開店されたそうですが、知る人ぞ知るカフェです。
私と母の知人も、再会した中学時代の友人も小学校時代の友人も「花さん」に通っていました。
何故かみんな同じ表現を使います。花さんに食事をしにいく、のではなく「花さんに会いに行く。」
吟味された商品も並びます。
ディスプレイも素敵です。
家の中と同じく、お店というのはやはり店主の人柄そのものが出るような感じがしてならないのですが、花さんはいつもゆったりした穏やかな空気です。そして自然の明るい光に満ちています。
訪れる人は何故かゆっくり話している方が多いような。私もこの陽だまりの中でおしゃべりせずに
うたたねしたい・・・というくらい心地よい空間です。
花さんのところで個展をした、と言われる竹工芸の作家さんに会ったことがあります。
カフェのスペースは窓辺で写真展をしたり、「コレ」という品物を置いています。
本のセレクトも楽しくて「これは何時間でも居てしまうかも」という魅力があります。
ギャラリーも兼ねているんだな、とその時は思っていました。
作家さんの作品など。
壁際の格子戸がモダンな雰囲気です。
実は私はマクロビオティックには偏見がある人間です。勉強というものがあまり得意ではないので
「あ、だめだ。」と興味が湧かないものに対しては固く扉が閉まってしまうのです。
一物全体を謳いながら、サプリメントを開発・販売したり、指導者の誕生日を宗教法人のように
お祝いするように強制されたり、食べ物に「良い」「悪い」を簡単につけたり、なんだそれ!
と反発したくなるような「マクロビオティック」の指導者や信奉者に出会って「あ、ダメだ。もう受け付けん。」と、簡単に思ってしまった経緯があります。
でも最近になってもう一度、見直す機会が与えられているように思うのです。
第3回目のオーガニックマーケットに参加して頂けた佐伯の「むすびや」さん。ずっと食育について
大分県で活動されてきた方。マクロビオティックをとことん学んで来られた方はそろって
「心が一番大事」と言われます。食事が心を整えるのを助けてくれるし、また心が主体とならないと
いくら美味しいものを頂いても栄養にはならない。
最近出会うマクロビオティックを実践されている方は、私が親しみや尊敬を感じられる方が多いのです。
天然酵母のパンや
マクロビのケーキもあります。
「花さん」こと、中野郁子さんは20代の頃にガンを発症して、抗がん剤の治療も経験された方です。
銀行に勤めて勉強を続け、さあこれからアメリカに留学だ、と言う時になってガンが発見されました。
いろんな治療をされたそうですが、なかなか思わしい結果が出なかったそうです。
そんな時にアメリカの雑誌に「玄米菜食でガンを治す」という記事に出会って、
「あ、私はこれで治るんだ。」と何故か確信を持たれたそうです。それから厳密に食事療法を続けて
それ以来、全然病院には行かれていないそうです。
花さんが最初にマクロビオティックを実行されていた時は本当にガンを治したいと必死だったそうです。「本当に厳密に食事は管理して徹底的にやりました。でもある時具合が悪いと言いながら食生活を全然改善しようとしない人のことを、いつの間にか差別している自分がいた。そんな食事をいつまでもしているから治らないのよ、とか治らないに決まっているのに。とか。それに気が付いてはっとしたんです。そんなの私の目指すところじゃない、そんな自分は違うと。」
それから食事はまず、感謝して大事に味わうもので、そして楽しくなければ。
そして食事だけでなく、人間は衣食住それぞれバランスよく整ったところで暮らして始めて
充実した生き方が出来るのではないかと思うようになったそうです。
人間の生活そのもの、人生のギャラリーを表現出来るようなお店を目指しているのは、そういう経験があってこそなんだと思いました。
城址公園の借景。
桜が満開の時は同じ目線の桜が楽しめます。
食べ物だけを深く追求するような場所は「道場」と呼ばれて、ある時は必要な時期もあるかもしれません。でも、もっと自然に毎日のくらしの中で実践出来る知恵としてマクロビオティックが存在してもいいのでは。と花さんの姿勢を見て感じることが出来ました。
「健康になるための知識や知恵に無頓着な人を差別していた自分に気が付いた」
花さんからその言葉を聞いた時に、私は「あ、やっぱりこの方をオーガニックマーケットでお客さんに紹介することは絶対に必要なんだ」と心から、本当に心から安心しました。思わず安堵のため息がこぼれてしまいました。決して意見を押しつけたりせず、断罪したりせず、自分の経験を通して、生きた知恵をいろんな方に伝えていける、そういう人にまた出会えたと思いました。
明るい厨房です。
いろいろな食器も楽しめます。
いろんなメニューのある玄米菜食のカフェもあって、お客様も玄米プレートだけではなく
食事のメニューを増やしたら?という声も上がるそうです。
でも「食事」のことについては絶対に譲れないことがあるそうです。
安全で安心である料理の基本を守ること。
きちんとした材料を使って、「理」のある丁寧な料理をして忠実に作る。
盛り付けは大事だけど見た目の華やかさなどをメインにはしないこと。
「旬のお野菜が変わるだけの、いつも変わり映えしない料理だけど、ここに来れば玄米のあれ(プレート)が確実に食べられる。」と思ってくれるだけでいい、そういう料理を提供する場所でありたいそうです。
花さんは楽しみを味わう料理とかも大事。でも、そういうのは私が作らなくても、他のお店にお任せします。とにこやかに言われていました。
絶対に譲れない料理のこと、それは「本物」をお出しすること。なのかなと私は勝手に解釈しています。
長居してしまいます・・・。
この雰囲気。
人に料理を食べてもらう、そのことについて私はふと考えた時とてつもない緊張を感じて「怖い」と
思いました。ましてやお金をもらってお出しすることは私には無理なことです。それに加えて
材料を吟味して料理方法も手を抜かずに丁寧に作る。そんな高いハードル、想像しただけでめまいが
しそうでした。(ちなみに私の料理は見た瞬間、全行程が誰でも想像出来る男の料理。キャンプに来たみたいだね、と評判です。)
一人で何もかもされているので、「料理をお出しするのが精一杯で、本当はお客様とゆっくりお話出来たらと思っています。」将来、本当に料理を作るのが大好きでマクロビオティックや自然環境のことや食事のことを理解出来て料理という形に出来る人が現れたら、一緒に出来るかもしれない。自分は皆さんと食のことについてお話に専念したい。紙に書いて解説する方法もありますが、やはり自分の言葉で丁寧に説明されたいそうです。
オーガニックマーケットでは花さんのカフェを作って頂きます。
でも温かい飲み物を中心に、ゆっくりと花さん自身も楽しんで、お客様が花さんとの会話を一番に
味わうカフェになったらいいな、と思います。
花さん、自然で温かくて、陽だまりのような明るさのある方です。
中野さんでなく、やっぱり花さんと呼びたくなるたおやかな、女性らしさを感じる素敵な方です。
皆さんも会いに来られませんか?