火を操れる女。母性を感じさせる素敵な女性です。
今回は真子さんの物語。
真子さんに出会ったのは日出豊岡の「おくど市」です。
手作りのお醤油を出品されていて、お醤油って、手作り出来るんだ!と相当な衝撃を受けました。
その後、素敵な染物をしているご夫婦がいる、紹介されて別府の北浜マルシェに行くとまた真子さんが。
玉ねぎや茜の天然染料でシルクやコットンの素材の靴下やレッグウォーマーを並べられていました。
すぐに温かくなる絹100%
レッグウォーマーです。
何とも言えない優しい風合い。
私が大好きな日本古来の麻の葉模様のシャツもあって、麻の葉の文様のモチーフは世界中にあって
「Flower of Life」という名前がついている、とご主人のHash氏から丁寧に説明されました。
考古学的に説明のつかない歴史的資料を「オーパーツ」というのですが、この文様もその一つらしいとか。
水晶のどくろとか・・・好きだったなあ、としばし盛り上がりました。
「Flowr of Life」素敵だなあ、しばしうっとりしてトリップした覚えがあります。
シルク100%の威力を「冷え取り健康法」で知っていたので、早速私のお店でも扱わせて頂きました
お行儀のよい「このは」くん。
真子さんは自然にそった生活を実際に営んでいます。
杵築の一軒家にご主人とお子さん二人と一緒に暮らしています。
家賃は格安だとか。わくわくしながら訪ねて行くと、大きなストーブが居間全体を暖めていました。
家の中で火を燃やせる・・・結構すごいことだと思います。
昔の人は囲炉裏の火種の管理に始って、家の中の「火」をうまくコントロールしていたのだと気が付きました。
ストーブの煙突はそのまま壁を抜いて外に出ていて本当に単純なつくりです。
お料理もストーブの上の鉄板をはずして(サイズ調整も出来る!)はめ込んだら直火で料理が可能です。
私が伺った時は米飴が土鍋でゆっくりと煮詰められていました。
米飴。
これからもっと煮詰めていきます。
自然なやさしいあまみ・・・。
時折、火の調整で薪をくべたり、空気を含ませたり。
真子さんは火を操れる女なんだなあ、何だか女性として、それが基本的な「たしなみ」だったのではないか。しみじみ感じました。
頂いたおやつは米飴を作る際に出た絞ったお米を地粉で溶いて焼いたもの。お醤油のかおりがこうばしいおせんべいで、米飴のあまみが感じられるものでした。お土産に頂いた私の息子も「おいしいね~」を繰り返していました。
結構ボリュームある
おせんべい。
夫 Hash氏、食べ過ぎて怒られる・・・。
だっておいしいもん。
味噌に始って、お醤油や米飴。その米飴を使ったおやつ。
昔作られていたちまきやあくまきなどのおやつ。「作り方だれかしりませんか?」と尋ねないと今ではなかなか分からない日本のおやつ。
それを真子さんは再現されて自分の味にしています。お醤油も最初は本を調べたりして試行錯誤だったようです。
今では家族の一年分を仕込んでいます。
「お金に余裕がなかったので、作ったら安上がりだと思って。」
そのほかにもいろいろ試してみられたそうです。
お醤油一年分。
野田琺瑯の清潔な容器に保存。
私も好きです。
お醤油の中身です。
「安全な食材を使って家族においしいものを食べてもらいたい。健康な体を作ってもらいたい。」
その願いで毎日、食卓を作られています。
「家族のために作ったものが、ほかのみなさんにも喜んでもらえたらそれで嬉しい。特に世の中に対してどうのこうの、伝えたいこととか、発信したいことがあるわけでもないです・・・。」
私はいろんなことを「聞いて~!」と言いたいタイプ。伝令の役割が大好きです。
でも人を納得させたり、動かせる力をもっているのは本当は真子さんのような人です。
何も言わずに淡々と丁寧な暮らしを実際に営む人。実践する人こそです。
ストーブの上部。
鍋の大きさによって穴が変えられます。
羽釜で染物をされるそうです。
真子さんの玄米もちは本当になめらかでおいしい。
ダマが残っているような玄米もちがある中、小さい子ども食べやすい食感です。
生活の中から出てきた味、とても優しい味わいです。
真子さんは福岡出身です。
もともとは夏は日焼けを気にして日傘を欠かさないほどの方だったらしいのですが、
いろんな人との出会いを通じて、自然の中で生きていく生命力を感じるような生活に惹かれていったそうです。
日本各地、石垣島でも暮らしたことがあったとか。
お子さんの就学の問題もあって、豊後高田の空き家バンクで五右衛門風呂やおくどさんが残っているような「素敵な」家に出会って何年か暮らしたそうです。
薪は近くに住む友人から。
ネットワークがあります。
子どものからだを作る時期にやはりいいものを食べさせてやりたい。
そんな願いを込めて食事を作っている母親は多いと思います。
でも今、保育園や学校に通わせる際に、用意される「給食」について考えさせられることが多いです。
真子さんも保育園にお弁当を持たせて息子さんを通わせた時があったとか。
何が安全で、子どもにとって栄養のある食事なのか。
人それぞれ考え方や知識、信じているものも違います。でもそろそろ大勢の子どもがそろって一緒の環境で食事をとる「給食」について、いろんな立場の人が話すことが必要になってきたと思います。
ストーブの熱でお湯も有効活用です。
食物アレルギーを持っている子ども。アトピーなどを食事療養で直している最中の子ども。
全員に対応するのは、本当に至難の業です。
それでも、給食に関わる全ての人、保護者も含めて「理想の給食」について話すことが必要だと思います。
安全な食材を作る農家の方が、地元の子ども達に「この野菜」を食べさせたい。と思った時にその願いがかなうルートが用意されているのか。アレルギーの子どもも心配なく食べられる食事でおいしい食事を全員に食べさせたいと思う調理する人がいたら、そのチャレンジが出来る環境があるのか。
それに、子ども達自身にとっても「同じ釜の飯を食う」ことは案外、重要なことのように思うのです。
本当に難しいことなのだろうか。最近よく考えます。
お金で買えない、子どもの将来のからだを作る食事。急がなくては、と思います。
お腹が空いたら、
自ら料理。
厚揚げ焼いています。
真子さんの家の居間の天井で揺れる布おむつ。ストーブで乾いて揺れていました。
その光景を見て、自分の子どもに、罪悪感を持ちながら紙おむつをあてていた私は、ちょっと泣きそうになりました。
何も語らない真子さんが、淡々と日々を営みながら、私に気づかせてくれたこと。
「自分の足元を見ること。」
本当の母性を持っている人と会うと、懐かしいような気持ちにもなります。