実施報告 おやつワークショップ 

日本のおやつはやさしい 砂糖を使わないお米のおやつ

2014年3月13日(木)おおいたOrganic Marketおやつワークショップ
実施報告

「日本のおやつはやさしい お砂糖を使わないお米のおやつ」

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講師 ひこばえ会員 蕨原おわて 時松和弘氏
    うちはら家 内原由季氏

雨模様のお天気でしたが、お子さんも含め25名の皆さんがご参加くださいました。狭いスペースの実施で大変恐縮でした。

前半は内原由季さんによるお米のおやつの実習。

 

もち米・きなこ・さつまいもだけで作るおはぎと味噌と甘酒をあわせたたれ付きの五平餅。

もち米は由布土まみれの会の古長篤巳さんの庄内米。
きなこは黒豆大豆きなこで是恒自然農園さんの是恒和恵さんの。
サツマイモはやーやまやさんの佐藤晋さんの自然農法のもの。

 

すりこぎでお米をついたり、まるめたり、子どもたちも積極的でした。
メープルシロップもてんさい糖もキビ砂糖も一切使わないおはぎは
穀物の甘さとサツマイモのやさしい甘味。
おかわり続出でした。
五平餅はオーブントースターで表面に焦げ目をつけて。
すばらしい香りでした!

 

講師の内原由季さんからは

「こどもが必要なおやつはお菓子とは違います。食事の他にお腹を満たすもの。何もあまいものでなくてもいい。お結びだったいいと思います。糖分の取りすぎの弊害はあります。

子どもに必要なおやつ、の見直しが必要です。」

 

「穀物が本来持っているものだけで十分甘い。その甘味も感じて下さい。まず、自分の五感で。」

そのように説明されていて、うなずくお母さんたち。とても熱心にお話を聞いていました。

 

後半は皆さんでつくったおやつを頂きながら仏間で時松さんのお話をお聞きしました。

 

器は究極のリサイクルだと個人的に思っている江戸から明治にかけての骨董。

御膳は先日竹田の旧家の方から「活用して下さるなら喜んで」と譲り受けたもの。

御膳の前に「なおる」ことが子どもにとっても一人の人間として尊重されるということになる・・・。

と聞いたのでやって見たかったのです。

 

でも、御膳で食事をすることは私たちの世代にとっては非日常。

でも時松さんにとっては日常。

 

御膳の使い方についてから説明をして頂いてとても嬉しかったです。

 

「ほとんどが手作りの暮らしです。冬は寒くて夏は暑い。」

「先程のおやつ作りの甘酒は買って封を切るところが普通の暮らしでしょう。でもうちでは一から米から全て作ります。きなこも大豆を育てて煎って石臼で粉にするところから。前にマクロビオティックをする人が元のところを知りたい、と勉強に来られたこともあります。」

 

「日本の食べ物、本来私たちの祖先が食べて来たものは季節と密接な関係があります。

その時期のものを美味しく栄養があるときに食べる。

そして、お雑煮でいえばもやしは芽が出るように、世に出るようにという思いも込めて添える。

そしてお餅は神様へ捧げる食べ物。そして鏡開きにおすそ分けを頂いて神様のご利益も体の中に入れる。

全ての食べ物に物語や祈りが込められているのです。

でも今はもう、お腹を満たすだけの食べものが主流になってしまった。それは食事ではなくエサに等しい・・・。」

 

「家族の中でしゃもじの采配をふるうお母さんは、すごい存在だった。

例えば鶏を捌く、その鶏をその家族の中の誰にどの部分を分けるかの権限は全てお母さんが握っていました。身の柔らかい部分はおじいさんに、脂のある部分はお父さん、骨の近いところは誰に・・・という風に。そしておかずやごはんを勝手に変えることは許されなかった。それだけ家族の健康や食事の責任はお母さんが担っていたのです。御膳はそういう意味ではこの範囲のものがあなたのための食事です。あなたのためだけに用意されたものです、という意味も込められています。」

 

時松さんの暮らしは本当に一から手作りです。

 

うちはらさんからの質問で

「糀を作るけれども種麹を買うのが精いっぱい。種麹はどうやって手に入れられるのですか?」

驚いたことに稲穂に付くのを採取するそうです。買わない暮らし、作る暮らし。

また、在来の自家採取をする稲穂には麹菌が付くのが分かるそうですが、F1の品種の稲には麹菌はつかないそうです・・・驚いて本当に聞き入ってしまいました。

 

捨てるものが何もない農家の暮らし。農的な暮らしが見直される時代がきっとやって来る、と信じて先祖代々の暮らしを大事に紡いで来られた方です。

 

参加されたみなさんはしん・・・としてお話に聞き入っていました。

アンケートの感想欄に「お話を聞きながら、思いが溢れそうになって涙が出そうになりました。」

と書いてくださった方もいました。

 

後半は炭をおこして下さって、時松さん自家製のあられを炭火で煎って下さいました。

甘味は一切入っておらず、里芋ともち米のみ。

「里芋サクサク山芋パリパリって言うの。あられは歯のないあかちゃんでも御節句に食べられるように本当にサクサクに作ります。膨脹剤も必要ないです。そして里芋を入れると嘘のように甘くなります。色は梅干し、黒米、ヨモギです。」

 

ふっくらとたちまち膨らんでいくあられに子どもたちもびっくり。

 

米飴も作って持って来て下さいました。

くず米の糯米のおかゆに麦芽(これも自家製)を入れて発酵させて煮詰める米飴。

やさしい甘さです。

子どもたちも喜んでなめていました。もちろん大人もおかわり!!

産後のお母さんの養生、滋養にも使われたそうです。

 

「お米は本当に素晴らしいものです。ごはん、よわった人にはおかゆ、こうして米飴にも甘酒にもお酒にも味噌にもなります。七変化どころかもっともっと。日本人にもたらされた本当に大事な食べ物なのです。」

 

集まって下さった参加の皆さんから次から次へと質問が出て、丁寧に答えて下さいました。

参加者の皆さんとこれから一緒に日本の伝統を取り戻すのだ、と思いました。

時松さんのような方がいるうちに、この時期が最後のチャンスに違いないと思います。

 

豊かな気持ちになったひと時でした。

福岡から中津から遠方から来て頂いたかた、妊娠中の方もいらっしゃいました。

狭い会場で不自由をおかけしました。

次回は火器を使える会場も見つけたいと思います。

 

どうぞよろしくお願い致します。

 

時松さん、丁寧なご準備の上遠方からいらして下さってありがとうございました。

 

内原さん、最後の大分でのお仕事、本当にありがとうございました。

第1回のおおいたOrganic Market 無理やり着物を着てもらい、土鍋で玄米のワークショップ・・・内原さんに出会ってマーケットの方向性がはっきりした部分もあります。

本当にお世話になりました。 あ~でもさみしいです!会えないのはつまらん!またいつかお会いできるのを楽しみにしています。

 

 

お話しに聞き入るお母さん方、参加されたまだ若い方、孫にいいものを、と考えられている方

皆さんの真剣な眼差しが忘れられません。

そしてその眼差しが大分の暮らしが変わる確かな予感です。

 

ありがとうございました。