由布有機農業生産者グループ  古長篤巳さん

「有機だからって、無条件に美味しいわけじゃない。やっぱりその農作物に適した土地があると思うよ」

「庄内は土がやや粘土質だから米作りに適している。水も山からのミネラルを含んだ水だから恵まれている。野菜は作るのが難しいものもあるよ」

そんな事をさらっと言われる古長さん。

 数回しかお会いしていないのに、何故か話すと楽しい明るい気持ちになります。

会話が必ず笑いで終わるような・・・温かい雰囲気の方です。

 

 

私の父は毎朝、大分県農林漁業祭で購入した古長さんのブルーベリージャムをパンに塗って食べています。お砂糖控えめに作られた冷蔵保存が必要なジャムはあっさりした酸味を生かした味わいです。

「古長さんのアレ取って」で朝は始まります。

 

古長さんに初めてお会いしたのはトキハの地下二階で行われた「有機農業生産物の販売会」です。 いろいろお話しして下さって、「食べ物を生産出来る土を確保しないといけないかもしれない」と妙な危機感を持つ私の話を馬鹿にすることなく、「そうだね~。体にとって安全で美味しいものはもうなかなか手に入らない世の中になるかもね。」と聞いて下さいました。

 

 それ以来、お見かけする度にとても似合うチェックのシャツを着ていて「あ、古長さんだ」と 分かるようになりました。

「百姓はファッションじゃないから」と言われますが、結構、お洒落だなあ

と思います。

 

 古長さんの農園に行きたいとお願いし、道を間違えながらあぜ道に突っ込んだりして伺うと、あまりの広さに驚きました。

田んぼと畑と多種多様な種類のものが豊富にあって、それをお母様が一部受け持って、ほとんど 一人で作業されているとのこと。

小豆、大豆、玉ねぎ、ジャガイモ、さといも(アカメ・シロメ)、アスパラ、ネギ、小麦、水菜サラダ菜、ホウレンソウ、かぼちゃ、トマト、大根、レタス・・・。

多種多品目の昔ながらの農業を目指されているのが分かります。

 

古長さんの農園に行きたいとお願いし、道を間違えながらあぜ道に突っ込んだりして伺うと、

あまりの広さに驚きました。

田んぼと畑と多種多様な種類のものが豊富にあって、それをお母様が一部受け持って、ほとんど

一人で作業されているとのこと。

小豆、大豆、玉ねぎ、ジャガイモ、さといも(アカメ・シロメ)、アスパラ、ネギ、小麦、水菜

サラダ菜、ホウレンソウ、かぼちゃ、トマト、大根、レタス・・・。

多種多品目の昔ながらの農業を目指されているのが分かります。

聞いてみたかった事をいろいろと質問してみました。

「有機野菜は本当に土がよくなると害虫が発生しなくて虫食いがない綺麗な野菜が出来るって本当なんですか。」

「出来るかもしれないけど、僕はよくわからない。虫がいるのが自然の状態。土のバランスがくずれると虫が多すぎたりして収穫に影響があるようになる。畑の中の生態系がくずれないようにしたらいいんじゃないのかなあ。だって虫だって生活あるしさあ。食べるものいるし。」

 

「有機JAS認定を受けていても使っていい農薬があるんですか。」

「そう。でも化学農薬は使えないのが基準。でもね、自然なものだとしても、人間にとって影響があるものもある。彼岸花の根には毒があってもぐら退治に畑にまいたとか聞くけど、植物の毒でも人間に毒になるものなんていくらでもあるからね。自然のものが全ていいとは言えない。そのへんもほんと難しいところ」

 

「JAS認定のハードルは検査料も含めて高いのですか」

「そうだね。周りに農薬を使っていれば影響受けるから認定されない場所もあるし。生育の記録も提出しないといけないし。いろいろ大変よ~。うちなんか上に田んぼがあって、そこがもし農薬使えば水路が繋がっているから認定は取れないと思うよ。農薬の影響を全くなくすのは正直言って難しいところもある。」

 

 本当に素人の私にも体験から出る言葉でわかり易く、噛み砕いて説明して下さいました。

実はこのほかにも細かく質問したのですが、全てにこたえて下さいました。

多分、「わかってねえあ~」と思われるような、ぶしつけな質問もあったはずですが。

 

土地と相性のよかった品種のじゃがいも
土地と相性のよかった品種のじゃがいも

古長さんはもともとは会社勤めをされていて、首都圏や福岡で勤務されていたそうです。

でもお子さんがアトピーやアレルギーだったためにご実家のある庄内町に戻ってこられて農業を始められたそうです。

 その時選んだのが化学農薬・化学肥料を使わない農業だったそうです。

お子さんたちの症状は今では治まったそうですが、今の子ども達や私たち3040代の体の事をとても心配されていました。

 

私は39歳。古長さん曰く、生まれた時から農薬と化学肥料が使われていた年代だそうです。

体が作られる幼い頃にそんな食べ物を食べていたら細胞そのものに影響があるのではないか。

いくらデトックス出来る方法があるとしても根本的なところに影響を及ぼしているのではないかと言われていました。

 確かに、私の年代でアトピーの友人は異常に多いのです。わたし自身もアトピーでした。

でも根本治癒した人とそうでない人の違いは、「食事内容」を変えるかどうかがカギになっていたという印象があります。

 

 自分の子どもに安全なものを食べさせて、病気を改善したいという気持ちから始めた農業で決して化学農薬や化学肥料は使えないだろうと思います。

食べるもので体が作られる、その怖さと尊さを知りながら、日々広い田畑におられるのだと思いました。

むこうは竹林
むこうは竹林

周囲の農家は平均年齢80歳を超えていて、後継者がいない状態。

限界集落とはこういうことだと心配されていました。

 

 農業は真面目にやったからと言っていつも必ず収穫があるわけではなく、予期せぬ事も多々あるとも。

今年は山の上の方の田んぼが、猪の襲撃にあったそうです。収穫前のお米が美味しい時期に食べられて、おまけに田んぼが運動場にされて大変な状態になったとか。抜いたそばから雑草が生え続けるという夏を乗り越えて実りを迎えたのにやりきれんやろうな、と思いました。

確かにジビエって喜んでいる場合ではない・・・。

 

ジャムになるブルーベリー
ジャムになるブルーベリー

有機農業とは何か。

化学農薬不使用・化学肥料不使用・遺伝子組み換え技術を使用しない、などの一応の基準は設けられています。基準をクリアして認定を受けたものではないとオーガニックとか有機とは名乗れないことになっています。

それでも、化学肥料以外の肥料は何を使っているのか、また肥料さえも使わない自然農法であるとか、聞いてみるとそれぞれの農家さんがそれぞれのやり方で実施されています。

 

手にしたこの野菜は安全なのか。

「有機」とつくと高く売れるから、という動悸ではなく口にする人の健康を考えて本当に、

無農薬・無化学肥料で作られたものなのか。

 作っている人を信じて人柄を感じて、消費者は買うしかないと思います。

スープにするとおいしいかぼちゃ
スープにするとおいしいかぼちゃ

私の父は立派な偏食家。化学調味料の味をお好みで、野菜も大嫌いです。

でも古長さんの畑に一緒にお邪魔して頂いたサラダ菜は「古長さんが作ったんだからね」というと

無言で残さず食べていました。どうやら古長さんは好きなようです。

 

「有機だからって美味しいとは限らないよ。でもまず安全があってしかも美味しいものを作りたい。」

と言える古長さんの人柄を私はとても素敵だなあ、と思って「古長さんの」お野菜を紹介したいと思います。

ホウレンソウ
ホウレンソウ

大分市内からたった一時間足らずで行ける、由布市。

本当に街の近くで、求めている安心な野菜を作っているかたが多いことを知りませんでした。

有機農業生産者「グループ」が出来る、というのは消費者にとってとても心強いことだと思います。