私が保育園の先生だったら、遠足で月一回は青井さんの畑にこども達を連れて行きたいなあ、と思う程青井さんの「畑の先生」はおもしろくて分かり易い説明をして下さいました。土、虫、水、日、植物について。
実際、遠足に来られる幼稚園や保育園もあるそうです。
とにかく「土」が大事なんだと説明してくれました。
土の中にいろんな生物や微生物が共存・共栄しているのが理想。その中でしか健康な野菜は作れないと。実感されているそうです。
その環境のバランスを保つために人間が手助けしているそうです。
活き活きしたミミズ
ビニールハウスの中のキュウリの地面を掘ってもらうと、何年も見ていなかった「ミミズ」が。
懐かしい気持ちで再会したなあ、と思っていると小さい地面の範囲にびっくりするくらいにょろりと出て来ました。
ミミズが土を通ったあとはトンネルのように無数に穴が出来ます。それに微生物や有機物を食べ、糞をして分解を助けてくれます。これを畑の土の中で勝手に繰り返してくれるので土が耕されて、植物にとって根を張り易いふかふかのいい土の環境になるそうです。
また、網状の巣を張らない地面を歩く小さなクモも沢山いました。このクモが小さな虫を食べてくれて農作物の被害はほとんどないそうです。(すいません、写真はぼけて写せませんでした。)
モグラもいるそうです。モグラは植物の根を傷めるので駆除の対象になることもあるらしいですが「彼らのテリトリーは広い土地のうちのほんのひと区画」だそうで、しかも「肉食」(そういえば・・・)
お互いの生き方を尊重し合えば何の被害もないそうです。
鶏糞の変化 白いカビ状のものがおおっています。菌活動中。
目に見える生き物だけでなく、「微生物」の力も借りているそうです。
畑は基本的に不耕起で深くは掘らないとか。地面の表面に鶏糞が薄く撒かれていました。
鶏糞の出自もはっきりしていて、誰のどういう餌でどういう環境で育った鶏のものなのか分かるように
しているそうです。そして嫌な臭いが全くありません。畑に撒いておくと、カビなどの微生物の発生が盛んに
なって土の栄養素を豊かにしてくれるそうです。
「日本の有機認定は海外の審査基準に比べて相当甘い」と言われているそうです。
そのひとつが化学肥料以外の肥料の出自を問わないことです。堆肥の中に含まれる牛糞や鶏糞の内容までは審査されません。その牛の餌は化学肥料や農薬を使ったものではないのか、その鶏の生育環境は狭い鶏舎に閉じ込められて病気が発生しないように餌に抗生物質が含まれたようなものではないのか。
「有機的なもの」であれば極端な話、そんな細かい事はいわれないのです。
青井さんの農園で使う堆肥はそういう審査は無いにも関わらず、そこまで考えて鶏糞を選んでいました。
でも決して鶏糞がメインではなく、草木や藁、もみ殻などの草木堆肥がメインのようです。
「完熟堆肥」とそうでない「未熟堆肥」の違いなど、疑問に思っている事にもすらすらと答えてくれました。
「発酵」と「腐敗」の分かれ道ははっきりしている事など、いちいち納得出来るような分かりやすい説明でした。
見晴らし最高。
冬は天日干し100%の切干大根をつくります。(今回出品は時期でないのでないです)
甘くて美味しいのはこの環境から。
青井農園さんのところには特にこれと言った「ロゴマーク」のようなものはありません。
でも、ご夫婦二人がそろっているだけで「あ、青井さんところだ!」とわかります。
少しづつでも有機農業の事を知って、食べてもらいたいと、積極的にいろんなイベントにも参加されています。
おくど市、まちなか市場、トキハの有機農業の販売会など、それに地元のイベントにも。
私が最初に青井農園さんに出会ったのは若草公園のイベントです。お奥様一人だけの出店でしたが一つ一つ丁寧に野菜の育った環境なども説明して頂きました。「いつでも連絡頂いていいですよ」と旦那さんの名刺を渡してくれました。
「青井朝輝さん、農業に関連するような素敵なお名前ですね」と言うと「でも朝にはいまいち弱いんですよ。」と、奥様。「この人相当素敵・・・」と私は密かに心の中でほくそ笑んでいました。
ビニールハウスの中の春菊
やわらかくて香り高いです。
どうやったら美味しく食べられるのか、一番知っているのは生産者の方とその家族だと思います。
夏にお会いした時は小さな生でも食べられるサラダかぼちゃと塩コンブの合えたものを試食として
頂きました。すっかりそれにはまり続けてしまい、すぐに火が通るかぼちゃは離乳食の定番になりました。
奥様の試食は簡単でいて、美味しい。「ほとんどは嫁いできてからの義母の味」だそうです。
抜いて下さった人参が二股が多かったため
「センスないね~」
と奥様に突っ込まれる青井さん。
嬉しそうです。
でも美味しいです。私は葉っぱも食べられます。
東京生まれの奥様と青井さんがどこでどう知り合ったのか、ずっと興味津々でした。
青井さんは東京にあった某省庁直轄の農業大学校の卒業生で、山梨に研修に行かれた時に
奥様と知り合ったそうです。
「農業高校とか農業大学校なんかは、農薬とか化学肥料の使い方を勉強するところではないんですか。それでどうして有機農業に進んだのか知りたい。」と偏見に満ちた質問をすると 、青井さんの出た学校は、例の「事業仕分け」とやらで廃止された学校でしたが、長年にわたって新しい農業のパイオニア的存在になるような卒業生を排出した学校で、就農率はものすごく高かったそうです。
廃止反対の署名運動もあったとか。
そこでは実際の農作業などは自分で見つけて来た研修先でみっちりとやって、学校では特別講師を招いての講義が多かったそうで「農業人として、人としてどうあるべきか」などの哲学的なものを深く考えるような時間が あったそうです。
加えて東京での生活が「都会や世の中を知る」いい機会になったそうです。
折ったキュウリがくっつくという
有機農業都市伝説の実験。
伝説じゃなかった。
中から分泌液が出て来て、即接着・即修復。
細胞の密度の濃さと健康さがなせる技です。
もともと青井さんのお父様が有機農業を意識した農作物を作っていたので、青井さんが大分に帰ってこられてから「やりたい」という事を認めてやらせてくれたとか。「まず、土が大事」というのは父の口癖です。と何度か青井さんがお話しされているのをお聞きしました。
おおいたオーガニックマーケットをやってみたいとずっと前からご夫妻に会う度にお話ししていました。
なかなか形にならない状態がずっと続きましたが「待ってますよ~」と奥様から言ってもらって
企画書を出してからは、私のやりたい事を本当に分かってもらっている、と嬉しかった事がありました。
青井さんには、現実的にいろいろアドバイスを頂き助けてもらいました。
このお二人のコンビが青井農園さんの魅力の一つです。
とてもおおきな魅力です。
オーガニックマーケットで会ったらいろんなお話しが楽しいと思いますよ。